バンブツルテン

観たり読んだり聴いたり行ったり考えたり

『バンパイヤ』(手塚治虫)

バンパイヤ (1) (手塚治虫漫画全集 (142))バンパイヤ (1) (手塚治虫漫画全集 (142))
(1979/03)
手塚 治虫

商品詳細を見る

初出:[第一部]1966.6.12〜1967.5.7. 週刊少年サンデー小学館
   [第二部]1968.10.〜1969.4. 少年ブック(集英社
単行本:講談社手塚治虫漫画全集142〜144・320巻/秋田文庫全3巻/
    秋田書店サンデーコミックス全4巻
備考:未完。版によって微妙な修正あり。秋田サンデー版は未収録部分あり。
おすすめ度:★★★★★

手塚中期作品の中でも人気・知名度ともに高い作品。
(知名度では最近どろろに抜かれた感がありますが)
自分が持ってるのは文庫版です。

SFと伝奇の融合ストーリーで、読み手を選ばないエンタテインメント作品です。
非常に内容が濃く、最後まで息をつかせないスリル感もあります。
そうして完璧といえる形で幕が引かれているため、
第二部には賛否あるようですが、個人的には第二部もとても楽しく読みました。
未完なのが本当に惜しまれる。
また改めて記事を書くかもしれませんが、第二部に関しては
野口文雄さんの『手塚治虫の奇妙な資料』という本で
興味深い指摘がなされています。
この本は手塚をある程度読んだ人にとってもおすすめ。

閑話休題
手塚作品の中での位置づけとしては、
ロックの悪役としてのデビュー作ですね。
現在の手塚読者の大多数はB・Jや火の鳥から入るため、ロックは
最初から悪役のイメージが強いんだと思いますが(自分もそうでした)、
初期のロックは正義の少年探偵であったり、
大統領のおぼっちゃまであったり、とにかく「よいこ」。
おそらくマンガ表現の発展により、「少年の悪役」が
登場できる土台があったというのもあると思われますが、
そこでロックを起用するところが冴えてるなあ、と。
子悪魔たちを引き連れて歌い踊るミュージカルシーンは一見の価値ありです。
役者・手塚治虫の本格的なデビューもこの作品かな。
名脇役として活躍してます。

加えてロックとトッペイの関係性や、そもそも天才で美少年でドSというロックの
キャラ設定は、必ずや一部の女性の心に響くものだと思われますw

『B・J』や『火の鳥』なんかで手塚治虫ちょっと面白いんじゃね?と
思い始めた人に、次に読んでほしい作品ですね。
あと個人的には舞台化を熱望。