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『ヨイコノミライ』(きづきあきら)

ヨイコノミライ 1 完全版 (1)ヨイコノミライ 1 完全版 (1)
(2006/07/28)
きづき あきら

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舞台は高校の漫研で、登場するのは典型的なオタク達。
オタク学生達の、「描くこと」に絡んだ葛藤だったり、あるいは恋愛だったりが
描かれているという点では『げんしけん』的といえなくもないんだけど、
その表現は比較にならないほど暗く、陰鬱です。
キャラクター1人1人の「オタクとしての嫌な部分」の描写が
徹底していることが、ここまで暗いストーリーにさせたんだろうか。
みんながどうにか少し成長して、救われて終わる話なのかと思いきや、
ものすごくぞっとさせるラストが待ってるし。リアルで鳥肌立ちました。

作者の一人であるサトウナンキ氏は後書きで、
「オタク文化が好きだからこそ、暗い部分をなかったことにしたくなかった」
と発言しています。
確かにそういう視点でオタクを描いた漫画って他にないような気がする。
そもそもそれを題材として扱った漫画が数えるほどしか描かれてないし。
「オタクの暗い部分」を克服したキャラクターと、
克服できずにいくところまでいってしまったキャラクターの差が怖すぎる。

とりあえず、恐ろしい作品だと思います。
サイコホラー作品として読めるんじゃないかってくらい。
実際読み終わった日はすごく夢見が悪くて夜中に何度も目が覚めましたw
それくらいインパクトと個性のある作品です。
オタクを自認するなら必読。