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『風雲児たち』(みなもと太郎)

風雲児たち (1)風雲児たち (1)
(2002/03/28)
みなもと 太郎

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私が大学で日本史学を専攻するきっかけになった作品のひとつです。
結局卒論のテーマは幕末には全く関係なかったんですけどね!

幕末の動乱を描こうとしたところ、調べ始めたら関ヶ原から始めなければ
ならないということに気づいて、 本当に関ヶ原の合戦から始めたという
超大河歴史ギャグ作品。
関ヶ原の事後処理から後はさすがに端折られてますが、
田沼時代以降はほぼ時間軸に沿って描かれてます。
ついに「コミックトム」で連載してる間は幕末に追いくことができず、
掲載誌を移して『風雲児たち 幕末編』というタイトルで現在も連載中。

風雲児たち (幕末編1)風雲児たち (幕末編1)
(2002/07/26)
みなもと 太郎

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田沼意次松平定信杉田玄白平賀源内といった有名所のみならず、
寛政三奇人やら大黒屋光太夫やら最上徳内やらシーボルトやらやら…
日本史で大学受験した人でも「ああそんなヒトいたね」程度にしか
覚えていないであろう人物たちの生涯もしっかり背景を含めて
詳細に描かれていて、 江戸後期の政治や文化を身近に感じられます。
何より、人物同士のつながりを本当に丁寧に描き出しているので、
「人と人がつながって歴史をつくっている」という、当たり前だけど
日ごろ思い当たることのない事実を思い知らされます。

基本的にギャグマンガなので登場人物はほぼ全員4頭身以下です。
それでいて、緊迫したシーンは茶化すことなく真剣に描かれているので
何度冷や汗かいたか、泣かされたか知れません。

昔のCMや漫才のネタを多用するので、古いギャグが生理的にダメって
人は苦手かもしれないけど、敬遠するにはもったいない作品です。
正直大学受験のときにこの作品読んでたら、日本史を勉強するのが
3倍は楽しくなっただろうなと思いますw
ちょっと幕末史に興味ある、程度の人でも楽しく読めるのではないかと。
逆に、メタ的ギャグやマニアックなパロディはコアなマンガ好きさんの
欲求も存分に満たしてくれると思いますし。