『究極超人あ〜る』(ゆうきまさみ)
究極超人あ~る (1) (1991/09) ゆうき まさみ 商品詳細を見る |
春風高校というなんとものんきな名前の学校の、
光画部という要するに写真部なんだけど戦うセンパイがいたり
入り浸るOBがいたりする奇妙な部活の奇妙な日常。
主人公のR・田中一郎はアンドロイドですが、SF的な展開は皆無です。
アンドロイドだの何だのという設定よりも、文化系高校生のぬるーい生活を
リアルに描き出しているところが特徴。
私は高校時代演劇部に所属していましたが、この春風高校光画部と
かなり近いものがありました。
10分20分は遅刻に入らないとか、どこから持ってきたのかわからない、
何に使うのかもよくわからない備品が部室にごろごろしてたりとか。
「変な集団VS生徒会」という図式は、いまや学園コメディのお約束と
なりつつありますが、そのルーツはこの作品なんじゃないでしょうか。
(より古い例があるようでしたら教えてもらえると嬉しいです)
『ノルマンディーひみつ倶楽部』も『げんしけん』も『太臓もて王サーガ』も
『SKET DANCE』も、『あ〜る』がなければなかったかもしれない。
例がやけにジャンプ寄りですみません。
『げんしけん』にはあ〜るへのオマージュ的なシーンがありますね。
『ノルマンディー』にも「田中一郎」なるキャラがいたし。
終盤、レギュラー陣が高校を卒業してしまってからは、
「終わり」っぽくするためだったのかちょっとシリアスなストーリーに
なっていて、それによってややバランスを欠いているようにも思いますが、
それでもラストの1ページにはニヤリとさせられてしまう。
よくいわれる通り、高校文化部のバイブルだと思います。
ギャグは時事ネタが多いので今読むとちょっと古いかもしれませんが、
キャラの変人度の高さと、雰囲気のぬるま湯っぷりが最高に気持ちいい。
ただ、爽やかスポーツマンには面白さがまるで伝わらないかも。