『メトロポリス』(手塚治虫)
メトロポリス (手塚治虫漫画全集 (44)) (1979/01) 手塚 治虫 商品詳細を見る |
私が持ってるのは例によって角川文庫版の初版です。あの装丁は神。
再版以降カバーが映画のイラストになっちゃってたので
わざわざ古本屋で初版探して買いましたw
映画も好きだけどあの単色カバーだから角川版は魅力的なのだ。
いわゆる手塚初期SF三部作のうち、2番目に描かれた作品。
『ロストワールド』→『メトロポリス』→『来るべき世界』と、
時代が下るにつれて今読んでも読みやすいようになってきます。
(『ロストワールド』は描き版(職人さんがマンガ家の描いた絵をトレスする手法)
のため絵が稚拙なせいもあってかなり読みづらいです)
そんな時期の作品なので、50年代以前のマンガを読み慣れていない人には
薦めにくいですが、おそらくその頃描かれたマンガの中では最高水準の本格SF。
こんなに早い段階で(1949年)、発達しすぎた科学によって
人間が自らの開発したものに裏切られるという暗い未来像を描いていた、
その先見性に驚かされます。
大友克洋とりんたろうの手による映画版は、原作では両性具有という設定の
ロボット「ミッチイ」が「ティマ」という名の少女ロボットになっていたり、
原作に登場しないロックがいかにもロックらしい役で名演技を見せてくれたり
見所満載です。緻密で躍動感溢れる絵、本多俊之氏による音楽、
随所にちりばめられた小ネタも楽しい。
ただ、個人的には両性具有の設定は残して欲しかったかなー。