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「I STAND HERE FOR YOU」(大槻ケンヂ)

I STAND HERE FOR YOUI STAND HERE FOR YOU
(1995/08/23)
大槻ケンヂ

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1. 青春の蹉跌のテーマ PART1
2. モンブランケーキ
3. 猫のリンナ
4. 青春の蹉跌のテーマ PART2
5. ののの唄
6. FOOLISH GO-ER
7. それでも、また会えたらいいね
8. 青春の蹉跌のテーマ PART3
9. お世話になりました
10. 天使たちのシーン
11. 青春の蹉跌のテーマ PART4
12. あのさぁ

“I STAND HERE FOR YOU
 これは、幻聴でも、妄想でもありません…”

そんな台詞から始まるこのアルバム。
ノイローゼまっただ中な頃のオーケンのソロ2作目であり、
筋少の「レティクル座妄想」とあわせて「2大キ●ガイアルバム」とオーケン自身が
称しているとおり、全体的にかなりキているというか、病んでいる作品です。
「レティクル」は最初から「病んだ心」をテーマに掲げて意識的にそういうつくりに
していった作品だったのに対して、この「I STAND〜」は、病んで疲れ切ってしまった
心が、意識されるまでもなくそのまま音楽に昇華されたような作品。
だから、直接的にいわゆる「電波系」を連想させるような雰囲気は皆無です。

全体を統一するモチーフとして挿入される「青春の蹉跌のテーマ」、
3(Cheap Trick)、6(ZELDA)、9(井上順)、10(小沢健二)がカバ−、
7は筋少の「また会えたらいいね」を大胆にアレンジして歌詞も少し変えたセルフカバー。
完全なオリジナル楽曲は2、5、12の3曲だけなわけですが、
そんなことは全く気にならない。一分の隙もない見事な流れです。

中でもオーケンの面目躍如といった感じなのが8。
やはり冒頭の台詞から始まる散文詩です。
エディがピアノで奏でる、このアルバムのメインテーマに乗せて、
優しく熱く力強く語り上げられる、すべての辛い人に向けたメッセージは
弱った心にはどうにも深く突き刺さります。

そしてオーケンのソロ代表曲である12。
「他に人がいるなら 俺じゃなくていいしね
 ニコニコしているなら それで俺はいいから」
こんなに優しいラブソングには滅多にお目にかかれません。

表現し続ける人にとっては、いつも最新作が一番の自信作なのだと思います。
そうあることが重要で、幸福なことだろうとも。
加えて、自分が一番精神的に辛かった時期の作品なんて
あまり思い出したくもないのかもしれません。
でも、苦しみながらこのアルバムをオーケンが作ってくれたことには
絶対に大きな意味があったはず。
少なくとも私は、自分が辛くて苦しくてしょうがないときのために、
このアルバムをずっと持っておくことだろうと思います。

本当に本当に辛い思いをした人のギリギリの叫びだけが持つリアリティ。
それがこの作品の魅力です。

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昨日、都内の某中古屋でずっと探し続けていたCDに巡り会いました。
(オークションは色々めんどくさそうだしロマンがないwので利用してません)
1日遅れの最高のクリスマスプレゼント!金出したのは自分だけど!w