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2017/2/12(日)内田雄一郎「SWITCHED ON KING-SHOW」発売記念イベント@TOWER RECORDS 錦糸町店

SWITCHED ON KING-SHOW

SWITCHED ON KING-SHOW

 

我らが筋少(や、その他いろいろなバンド)のベーシスト・うっちーが、初のソロアルバムをリリース。内容はなんとテクノ!
その発売記念インストアイベントが、スタッフさんの熱意がファンの間では有名な、タワレコ錦糸町店さんで催されることに!
めでてえな、ということで、久しぶりに錦糸町まで出かけてまいりました。

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「トーク&ミニライブ&サイン会」と銘打たれていたものの、演奏は行われず、袖の三浦社長をアシスタント係として、ほぼうっちーが1人でトークを展開する形。
「今日は、アルバムをすでに、買ってくれた人が来てくれていると、いうことで。ありがとうございます」
「このアルバムには、たくさんの、元ネタみたいなものがあるので…これの、ネタばらしみたいなことを、やったら、面白いんじゃないかと思いまして。実験的に、やってみようと思います。…実験的なので、行きあたりばったりに」
「準備をギリギリまでやっていたら、遅刻してしまいました。すみません」
どこまでもマイペースなうっちーながら、さすがに演奏もせずにステージに30分間1人という状況に、ちょっと緊張しているというか、テンパっているというか、そんな感じがありつつイベントスタート。


■ジャケットについて

これはウェンディ・カルロスの「SWITCHED ON BACH」というアルバムのパクリをやろうとした(けど、うまくいかなかった)。

Switched on Bach

Switched on Bach

 

「SWITCHED ON BACH」はシンセでバッハの曲をカバーしたアルバムで、シンセサイザー音楽の歴史に残る作品。1968年と、かなり早い時期に発売になっている。
(なお話を聞きながら、ジョージが「電子音楽の世界」を個人作品として作ったり、「ヒア・カムズ・ザ・サン」のレコーディングにシンセを持ち込んだのが1969年だなあ、と、ビートルズ筋少よく比べるマンは思っていた)

ウェンディ・カルロス氏は後に性転換をして女性になっており、このジャケットの男性=カルロス氏だと思っていたうっちーは「あのバッハのおじさんが…」とたいへん驚いたが、このジャケットの人はカルロス氏ではなく単なるバッハ役の人であったとのこと。(このへん、ニュアンスが正確に把握できず)

そして、このバッハシリーズ第2弾のアルバムジャケットでは、バッハおじさんはなんと宇宙に行っている。

Switched on Bach 2

Switched on Bach 2

 

(たぶんこれだろう)
だから、セカンドではこっちもジャケットを宇宙にしよう!とのことです。


■「イワンのばか」について

「この人の曲です」とタブレットに表示した写真は、自伝を上梓したてのワジーこと和嶋慎治氏(笑)。「間違えた!」と言いつつ、エフェクター本の宣伝をしてあげるというひとネタを挟んで、無事にふーみんの写真が表示される。

フェードインで入ってくる曲というのはいろいろあって。
例えば、E.L&Pの「タルカス」。そして、イエスの「危機」。
この2曲のイントロの感じを混ぜたらどうなるか?というところからの発想。
(それぞれのジャケットを見せつつ、「どちらもどこか(店内)で売っていると思うので…とさらに宣伝を挟む律儀さ)

Tarkus

Tarkus

 
危機

危機

 

 ここで実際に、この2曲を同時再生してみていました。
「僕はこれ、30分くらい聴いていたいんですが」といううっちー。おお…なるほどわからん…

「♪3年殺しを…」部分の元ネタは、クラフトワーク

Mix

Mix

 

これかな?

ある時、このアルバムを聴いていたら、不意に「3年殺しを…」のリズムにハマると思い、「こりゃーおもしれーや」ということで当てはめてみたとのこと。なるほどわからん(2度目)

台詞の部分は、ロシア語に翻訳してしゃべらせた音声を使っているが、「イワンのバカ」と「イワンの馬鹿」で、それぞれ翻訳アプリを通すと語順が逆になってしまうということにTDの段階で気づき、あわてて差し替えたのだそうな。
それにしてもうっちー翻訳アプリ好きだなあ。

■「サンフランシスコ」について

冒頭の「さようならさようなら…」部分の台詞は、いろんな速度に加工した音声を重ねている。3番目がいい感じに訛ったイントネーションでお気に入り。
寺山修司と名付けた」。これはなんとなく言わんとすることはわかる。

■「カーネーション・リインカネーション」について

シュゴオオオオオみたいな音は、さぞ高級なシンセを駆使して作った音であろうと思いきや、単に「シュゴオオオ」っていう息を吹き込んだものを加工している。

ジャケットとイワンでだいぶ時間が割かれ、残りは簡単に小ネタ披露のみでした。

そんな感じで、音ネタ芸人のネタ見せみたいなトークイベントは終了。
マイケル風の衣装は早々に脱がれ、パーカー+マスク+なぜか裸眼、というスタイルでサイン会が行われ、最後に写真撮影をして、イベントすべて終了となりました。

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おもしろかった。
短時間のインストアイベントでも、適当なおしゃべりでお茶を濁すのではなく(それが不得手ということもあるのだろうけど)、わざわざ面白いことをやろうと試みてくれる姿勢に、真面目かつ面白いことが好きなうっちーの性格を垣間見た気がしました。

あと、私は今日会場で初めて音源を聴いたのですが、「内田くんには筋少の曲がこう聞こえているのかと思うと恐怖を覚える」やら「狂気を感じる」といった、ミュージシャン仲間たちの感想が非常に腑に落ちました。
それから聴く前に読んだJUNGLE☆LIFEのインタビューで語られていることもよくわかった。「星の夜のボート」の「ドアーズ・ギャグ」っぷり、笑いました。私もそんなに詳しいわけじゃないけれども、あ、ああ~~~っ!てなった笑。

全体として、たしかになんとなく間抜け、なんとなくチープ、でもその感じが聴きやすいというか、大仰な感じがなくて良い。

今回は最初ということもあり筋少のカバーという形をとったけど、水戸さんとやっているユニットのほうでリリースがあるかもしれない、という発言などもあり、次回作にも意欲的な様子でした。
個人的には、それもいいけど、完全オリジナルトラックでのアルバムというのも聴いてみたいなあとも思った。ちょっと怖いけど。

「こういうことが面白いと思ってしまっている、そんなお年頃なので、よろしくお願いします」という言葉が印象に残りました。いくつになっても面白いことを見失わない、発見し続ける、そんな人間でありたい。私も。