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『アニメがお仕事!』(石田敦子)

アニメがお仕事! 1巻 (1) (ヤングキングコミックス)アニメがお仕事! 1巻 (1) (ヤングキングコミックス)
(2004/08/27)
石田 敦子

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二卵性双生児のアニメーターの物語。
デジタル化の進んだ今となっては、アナログ時代のアニメ業界を
幾分ノスタルジックに描いている部分もあるようです。
それでも、「マンガ」や「アニメ」が「恥ずかしい、卒業すべきもの」であることに
気づかされるショックを正面から描いてくれていて、
私は「そうそう!」と読みながら頷いてしまいましたよ。
自分の場合生粋のマンガヲタなのでアニメのことはあまりわからないんですが、
感覚としては近いものがあると思います。

全巻読んで思ったことは、これは青年期の女の子が主人公で
現実世界が舞台の少年マンガだなあということ。
画風とか、詩的な演出とか、心理描写の細かさとかには
女性らしさを感じるけど、物語自体は骨太で、かっこいい。
イチ乃ちゃんの性格も正統派少年マンガの主人公を思わせるし。
そもそも19,20の女の子が主人公で青年向けの作品ってあまり見ない
気がするし、その設定の上で少年マンガをやってる感じなので新鮮でした。
辛い描写も多いけど、基本的に救われるストーリー展開なので
爽やかな気持ちで読み終えることができました。

熱い作品です。マンガでもアニメでも小説でも何でも、
何かを「創る」ことに憧れたことのある人なら、
引き込まれるマンガだと思います。
ただ、いろんな面でアクが強いので人によっては
全く受け付けないかもしれない。