『奇子』(手塚治虫)
奇子(あやこ) (1) (手塚治虫漫画全集 (197)) (1981/08) 手塚 治虫 商品詳細を見る |
「手塚治虫」のイメージって、一般的にどんな感じなんでしょう。
マンガにほとんど興味がなければレオとアトムと、あと最近だと
『どろろ』の原作描いた人って感じかな。
多少マンガを読む人には『B・J』『火の鳥』『ブッダ』『アドルフに告ぐ』
あたりも含まれるのかしらん。
私は一番最初に手塚作品に興味を持った経緯をよく覚えていません。
たぶん歳の離れた兄が『B・J』と『火の鳥』の愛蔵版を全巻持ってて
それを5歳か6歳のときにこっそり盗み見たのが最初かと思いますが
当然理解できるはずもないですし。
小学校高学年のとき学校の隣にできた小さな図書館に、
秋田書店の愛蔵版やら小学館の初期・中期作品やら有名どころ以外の
手塚作品もやたら揃っていて、それを読み漁ったのが
ハマった直接のきっかけではあるのですが。
そして、そんな私の11歳の誕生日に兄がプレゼントしてくれたのが
『奇子』の角川文庫版でした。
戦後史と古い家制度と近親相姦。
どう考えても小学生に与えるべきマンガじゃないと思うんですが
そのあたりが兄のすごいところだと思いますw
当時はもちろんよくわけもわからず、ただなんか女の裸がしばしば登場する
エロいマンガと認識しましたが、それでも私の中の「手塚治虫」像を
ぶっ壊すには十分でした。
うわー『W3』とか描いた人がこんなマンガ描いていいのかよー、と。
しかしこれがきっかけで私は高校生の頃には『きりひと讃歌』『MW』など
ほかの大人向け作品も読むようになり、ますます手塚治虫にのめりこみ、
今じゃ立派なヲタの一人となりました。
手塚を健全明朗な優等生マンガ家だと思っている方や、
閉塞感と変態性漂うイヤ〜なマンガが読みたい方、
あるいはロリコンさんなどにおすすめしたい作品ですw
劇画全盛期の作品で画風なんかにも劇画の影響が出てるせいで
多少時代は感じますが。
「恭謙」なんて言葉が出てくるマンガ私はほかに見たことないよ。