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『ララピポ』(奥田英朗)

ララピポララピポ
(2005/09)
奥田 英朗

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最近文庫版が出ましたが、自分が持ってるのが単行本なのでこっちで。
2年くらい前に買ったものを今更読みました。

奥田さんの作品では完全に伊良部派、ユーモア系派です。
『邪魔』『最悪』も読みましたが、そもそも自分はあまり犯罪小説とか
バイオレンスものとかが好きでないことに、これらを読んだことで
気づかされましたw
ビーヲタとして『ウランバーナの森』は楽しんで読めた作品だし
(ちょっと美化しすぎな気もするけどそれはそれ)、
イン・ザ・プール』『空中ブランコ』は大好きです。

この『ララピポ』は、元来奥田さんが得意な(というか好きな?)犯罪描写と、
よく練られた短編連作形式の構成による、ブラックちょいエロ小説。
もうちょっと明るいというか、アホな内容を期待していたので
読後感が思いのほか重くて参りましたが、1冊の本として非常に
まとまっていて、ある種の職人技を感じました。

主人公たちのダメ人間っぷりの描写も本当に上手い。
伊良部シリーズを書く上での副産物なのか、
神経症的に歪んだ人物をとてもリアルに描いていて
もう身につまされてしょうがないです。泣きたくなる。

もうちょっと気楽にアハハと笑える要素が入ってれば
かなり好きな小説になってたと思います。
今の自分が読むには少し辛かった…