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『ばるぼら』(手塚治虫)/テンプレ放浪

ばるぼら (1) (手塚治虫漫画全集 (145))ばるぼら (1) (手塚治虫漫画全集 (145))
(1982/02)
手塚 治虫

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この際だから強化月間にしてしまおう!
今月いっぱい手塚祭りです!

1973〜74年に「ビッグコミック」に連載された作品。
ブラック・ジャック』と『三つ目がとおる』の連載も軌道に乗って、
苦しい時期をようやく越えた時期の作品ということもあってか
いい意味で少し肩の力を抜いて描いている感じがあります。
サービス精神旺盛な一方で、手塚作品としてはかなり実験的な部類に
入るのではないかと思います。

「耽美主義をかざして文壇にユニークな地位をもっている流行作家」美倉洋介が、
彼の元に居着いた奇妙なフーテン女バルボラによって数奇な運命に巻き込まれる様を
幻想的に描いています。
美倉自身の異常な性癖やバルボラのあまりに謎めいた人物像、
オカルトブームにちょっとだけ便乗した黒魔術関係のエピソード、
随所に散りばめられる芸術論や文学論に精神世界の描写、
さらに登場人物に「筒井隆康」「松本零児」なんて名前をつけるお遊びと
たいへんアダルトでインテリな方向にバラエティに富んでおります。

最近久しぶりに読み直したんですが、フキダシが登場人物の性別によって
描き分けられていたり(男は直線的で角ばったもの、女は雲形の一般的なもの)、
いろいろと読み込んでみる余地が残されていそうです。

「都会が何千万という人間をのみ込んで消化し
たれ流した排泄物のような女―それがバルボラ」
冒頭のこの一節にやられてしまえばハマること請け合い。

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黒背景がなんか落ち着かないのでまたテンプレ替えてみました。
飽きっぽいのかなあ。