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2011年上半期を振り返る【マンガ編】

2011年上半期に「!」と思ったものについてつらつらと。
連載開始だったり、完結だったり、いろいろ。

鉄道少女漫画』(中村明日美子白泉社

鉄道少女漫画鉄道少女漫画
(2011/01/31)
中村 明日美子

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休筆中だった明日美子さんの新刊ということで、否が応でも期待が高まるというもの。
タイトルも、これはある種の「ぐっとくる題名」((c)ブルボン小林氏)だと思います。

小田急線沿線で繰り広げられる様々な恋の形を描いたオムニバス短編集。
さらりと読めるのに、読後感がとってもあたたかくて甘酸っぱい。
もどかしくほろ苦い青春譚「彼の住むイリューダ」はじめ、キュンとしたい人必読。
日ごろ小田急線を利用する人や、鉄道好きな人にもおすすめ。
明日美子さんの少女マンガといえば「片恋の日記少女」も読んだけど、
今回の方が好きだなあと思った。一環したテーマに沿ってエピソードを重ねる作り方が上手いんだな。
そして、小田急線沿いの本屋はもっと積極的に小田急アピールした売り方をするべし。

人間失格』(太宰治古屋兎丸/新潮社)

人間失格 3 (BUNCH COMICS)人間失格 3 (BUNCH COMICS)
(2011/06/09)
古屋 兎丸、太宰 治 他

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完結。
何度も何度も読み返し、そのあとに原作の『人間失格』を一気に読み返してしまった。
そうしたくなるというのはたぶんコミカライズとして成功なんだろうな。
原作を正確になぞったストーリーなのに、ここまで違和感なく現代的なアレンジができるものなんだなあ。
巨大な小説に最適な作家が挑んだ素晴らしいマンガ作品になっていると思う。
端正な画による薬物依存の描写が凄まじい。

いとしのムーコ』(みずしな孝之講談社「イブニング」連載中)

柴犬ムーコと、彼の大好きなごしゅじんさま・こまつさんのゆかいな毎日。
実在のガラス作家さんとその愛犬がモデルなんですね。
もうただひたすらにムーコがかわいい。イブニングで真っ先に読みたくなる作品かも。
みずしなさんはベテラン4コマ作家だけども、こういうショートコメディもとても良い。

『プロチチ』(逢坂みえこ講談社「イブニング」連載中)

専業主夫」×「大人の発達障害アスペルガー」という社会的テーマを、
ベテラン作家が独特の叙情的な筆致で描くとどうなるか。
個人的に、自分が発達障害の気があるかもしれないなーと思っている部分もあって、気になっている作品。

『閉じる。』(水木由真双葉社漫画アクション」1月4日号掲載)

この作家さんの「アクション」への登場はこれが2度目だったと思います。
「モーニング」や「アクション」では新人作家の読切が掲載される機会が最近とても増えていますが、
その中で特に気になった、名前をおぼえておこうと思ったのはこの人だけでした。
読みづらさを感じず、すぐにお話そのものの不思議な浮遊感に巻き込んでくれた作品だった。
ほかの作品も読んでみたい。8月のコミティア、もし行けたらスペースにうかがってみよう。

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近頃マンガ好き界隈では、「フラッパーがアツい」ともっぱらの噂ですね。
まだチェックできてないので、今後フォローしていきたい分野です。