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2013/11/21(木)Paul McCartney 「OUT THERE JAPAN TOUR」@東京ドーム

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東京ドームで伝説を拝んできました。
終始興奮と感激の渦の中でぐるんぐるんしていた。
感情に押し流され続けた3時間でした。
以下、とにかくあの会場で見たもの、考えたことを、思い出すままに。

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・生まれて初めての東京ドームでした。
17時開場・19時開演というスケジュール、2時間も何すんだろ…ぐらいに思ってたけど、
18時ちょっと前に開場に到着した私が場内に入って物販列に並びギリギリ残っていたツアーTを買い
アリーナの席に着けたのは18:50頃でした。そりゃ入場に2時間要るわ…
本当はTug Of WarのTシャツが欲しかったなー。パンフレットは通販があるみたいですね。どうしよう。

・入場時に、チラシと一緒に赤のサイリウムを手渡される。
キョードー主催の企画だったのかな?ポールに対するサプライズということで、
「Yesterday」のときに会場をOUT THEREのテーマカラーである赤に染めましょう!というもの。
お祭りだものな!とわくわくしました。実際にダブルアンコールで見事に赤で埋め尽くされた
東京ドームは圧巻でした。あんな大会場であんな一体感を味わえるとは!

・席はアリーナEブロックの後ろの方で、生身のポールは肉眼では米粒程度にしか確認できなかったけど、
ステージ両サイドのスクリーンはよく見えました。
19時になると同時に、このスクリーンで幼少期〜青年期〜ビートルズ時代〜ソロ時代〜現在の
時系列に沿ったポールやバンドメンバーたちの写真、動画をコラージュした映像がスクロール状に流れ出す。
最後の方に、リンゴとふたりでマイクシェアしてる最近の写真がありました。

・ポールがステージに現れたのは19時20分〜30分頃かな?
1曲目は「Eight Days A Week」、そして最初のMC!
「コンバンハー!トーキョー、タダイマー!
 ニホンゴ、ガンバリマス!…デモ、エイゴノホウガトクイデス!」と日本語で言ったあと、
英語で「僕の英語が聞き取れないときは、両側のスクリーンに日本語が出るからそれを見てね」と。
そして以降、本当にポールが2センテンス以上の英語をしゃべると、スクリーン上に同時通訳が!
すっごい!コミュニケーション取ろうとしてくれてるんだなーと感激してしまった。

・「All My Loving」ド頭の「Close your eyes〜」のフレーズを聴いて、
なぜか反射的に涙が出て自分でびっくりした。ご存じのとおり感動して泣くような曲では全くない。
だけど私にとっては何か特別だったんだっけ…?と考えて、
そうだ最初に歌詞を覚えてそらで歌えるようになったビートルズの曲だったんだ、と気づいた。
おそらく中学2年くらいの頃。物心つく前から親しんできたビートルズを初めて意識的に、能動的に
「好きな音楽」として聴き始めた頃。
理屈じゃなく、記憶の奥底を揺さぶられた感じだった。

・「The Long And Winding Road」は、高校時代に部活で後輩との関係がうまくいかずもめにもめて
辛かったときに聴いて、「Anyway you'll never know, the many ways I've tried」という歌詞に
とても共感したなあというのを、今も聴くたびにいつも思い出す曲。
だけどこの曲をポールがピアノを弾きながら歌うのを聴いて覚えたのは、ただただ純粋に、
なんて美しいメロディなんだろう…という感動だけだった。曲に寄り添う記憶にライブが勝った。

・そして続けざまに「ツギノウタハ、リンダノタメデス」という一言を挟んでの「Maybe I'm Amazed」。
ぶっちゃけ私はポールソロやウィングスの真面目なリスナーではなくて、
一応「McCartney」「Ram」「Venus and Mars」「Band On The Run」あたりは一通りは聴いたけど…程度。
でもその中で、この曲の持つ、聴いてて苦しくなるような熱量はすごく好きだった。
静かな曲のようで、ほんとに熱い熱い演奏だった。また涙がとまらなくなった。

・「夢の人」、「恋を抱きしめよう」。「恋を抱きしめよう」は英語の授業で習ったっけなあ。
ジョンとの共作曲が披露されるとひときわうれしい。
「And I Love Her」は映画ハード・デイズ・ナイトのシーンを思い出す。
50年前なのか…あの映画の中のかわいいポールが50年後に日本に来て歌っているのか…と茫然。
しんとした空気の中の「Blackbird」も素晴らしかった。

・「ツギノウタハ、ジョンノタメデス。ジョンニ、ハクシュヲ!」のMCからの「Here Today」。
同様に「ジョージニ、ハクシュヲ!」からの「Something」。
サムシングは、ポール一人ウクレレ弾き語りからバンド演奏に流れ込むアレンジ。
曲の後でポールが英語で「ジョージ、美しい曲をありがとう」と言っていた。
ポールが本当にこの曲を美しいと思って、愛していることを感じるアクトだった。
とても嬉しかったのと同時に、ジョージの歌を生で聴くことができなかったのがとても残念で
切なくなった。でも、ジョージの魂はいまここに来てくれているかな?などとふと考えてしまった。

・「Being For The Benefit Of Mr.Kite!」最近ポールがやっているとは聴いていたけど、
この日も聴けた。不思議なチョイスのジョン曲。
ジョンのジョンらしさが詰まった曲だと思う。だからなのかな?
「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Bandの曲から…」と言ってやったのはこれと
「Lovely Rita」。とってもかわいい、大好きな曲で歓喜!
リボルバー〜サージェント・ペパー期のポール曲は特に好きな曲が多いんだよな〜。

・「新しいアルバムから…みんな、このアルバムを日本でNo.1にしてくれてありがとう」と言って
「NEW」から披露されたのは「Save Us」「NEW」「Everybody Out There」「Quinee Eye」の4曲。
「NEW」は私もせっかくだしとお布施気分で買ったけど、思いのほか…というと失礼ながら
すごく良くて、気に入って、何度も聴いています。ポップだけど随所でひねくれてて好きな感じ。
ポールの、とか、元ビートルの、というのを抜きにして、現役1ミュージシャンの作品として
とても好きだなあと思う。素晴らしいことだよね。

・本編ラストは「Hey Jude」、後半のコーラスはやっぱりオーディエンスが歌うんだね!
ポールが「ダンセイダケ!」「ジョセイダケ!」と分けて歌わせていて、
わーこんな普通の歌手みたいなことポールもするんだー!wとなんだかニヤニヤしてしまった。
女性代表としてめいっぱい声を張り上げましたが、女性陣弱かったね!
団塊マダムたちが照れてしまったのかなーと思った。会場ではそんなに男女比偏ってる印象なかったよー。
フェイクばりばりのポールの歌い方も熱がこもっていてとってもかっこよかった。

・アンコールは太いギターリフがかっこいい「Day Tripper」から。
「Get Back」もタイトでかっこよかった。けどこの曲はどうしてもルーフトップ・コンサートの映像が
頭をよぎるなあ。あのテイクのリンゴのドラミングがとても好き。

・ダブルアンコール、赤のサイリウムに包まれて聴いた「Yesterday」、そして
「モットキキタイ!?」の煽りから、なんということでしょう、「Helter Skelter」!!
HR/HMの源流の一つといわれるこの曲を71歳のポールが演奏するなんて…!

・「ソロソロ、カエルジカンデス」。クルー、スタッフ、バンドメンバー、そしてオーディエンスへの
謝辞を述べて、ポールがピアノで弾きだしたのは「Golden Slumbers」!!
これは、これは、あの、アビー・ロードB面後半メドレーではないですか…!
どこだかのライブ映像で見て、これ生で聴けたらたまんないだろうなあと思っていたそれを、聴けた…!
楽しいライブが終わっても、その記憶を糧に毎日を一生懸命生きるんだよと言われているような
「Carry That Weight」、そして、「The End」!
この一連の流れは、私のいくつもある一番好きなビートルズ曲の中のひとつであり、
もしかしたらビートルズのナンバーの中で一番美しい流れではないかな、と思っている。
楽しさが弾けるようなギターバトルから、「そして結局、あなたが受ける愛は、あなたが与える愛に等しい」と
ささやくように歌われるエンディング。完璧。これ以上はない。

・「ドウモアリガト、トーキョー!サイコー!チョーサイコー!」
「マタ、アイマショウ!マタネ!ゲンキデネ! See you next time!!」と言っていたポール。
年齢的なことで、最後の来日公演だろう…と誰もが思って、だからこそみんな駆けつけたんだろうけど、
そのステージで間違いなくポールは現役だと、「Paul is Live」であると、少なくとも私は実感した。
また会える日がきっと来る気がする。
日本に来てくれて、そう思わせてくれてありがとう!Thank you Paul!

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ブログ放置してる間に夏の魔物とか椅子ツアーとか筋少ツアーとか筋肉椅子とかいろんなことがあったのだけど
とりあえず昨日の想いは吐き出さないと死ぬ…!と思ったので。
ざかざかと書き殴ってみて、改めて、ビートルズの音楽は私の30年弱の人生に寄り添っていたのだと実感。
幼少期から家族の影響で聴きながら育ち、中学生の頃に初めて音楽としての魅力にとりつかれ、
以来、いつでも一番身近に常に置いていた。もはや、自分の体の一部と同じなのだな。

大学生のときに筋少に出会って、もっといろんな音楽を改めて聴くようになって、
自分にとって別格に好きな存在になるミュージシャンの共通点は「曲がバラエティに富んでいること」
であることに気付いたのだけど、それを世界で最初にやったバンドはおそらくビートルズだったし、
私が人生で初めて触れたそういうミュージシャンもビートルズなんだよね。
筋少ファンとビートルズファンはあまり重ならないけど、私の中ではこの2バンドはそこでつながっている。
メンバー4人のキャラの濃さとか、バランス感も似たものがあると思う。
そういうことを改めて考えさせられるきっかけになるライブだった。

そして、この世に遺された側のビートルとして、"Lennon=McCartney"の片割れとして、
ジョンとジョージの書いた曲を愛情をこめて、楽しんで演奏するポールの姿は眩しかった。
世界が誇る一流のスターの振る舞いというものを見せつけられた思いだった。
ポールはとてもとてもカッコよくて、素晴らしいパフォーマーだった。

もう一度言う!
ありがとう!Thank you Paul!
マタアイマショウ!