バンブツルテン

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「ガラスの仮面展」に行ってきた

松屋銀座で開催中の「ガラスの仮面展」に行ってきました。
ら、とても楽しめたので感想をしたためておきます。

f:id:fumfumz:20170828233558j:plain潔いエントランスに、もちろんあの人からの紫のバラ

日曜夕方という時間帯を狙った甲斐もあり、混雑はさほどではありませんでした。
どうしても滞留はするけど、ごった返している感じではなかったし、先に他を見てから最初に戻る、という見方もできたので良かった。

どんな雰囲気(というかノリ)なのかは公式Twitterアカウントなんかがわかりやすく伝えているから見ていただくと良いんでないかしらと思います。

twitter.com

以下は、展示を見て個人的に思ったり感じたりしたこと。
全面的にネタバレしていますので、構わないという方だけお読みください。

■シンプルかつゴージャスな展示内容

全体として、原画でこれまでの作品の軌跡をたどっていく流れ。いたってシンプルです。

ガラスの仮面』の作品内をひと通り振り返ったあとに、おまけ的にメディアや舞台化関係、ほかの身内作品関係の展示物がある、という形。

印象的だったのが、壁面やコーナー区切りのカーテンなど含め、あらゆるものの色味が基本的にワインレッド/黒/ピンク/紫(のバラ)で統一されていたこと。

と書くとなんだか味気ないようですが、実際にはゴージャスなところはうんとゴージャスに感じられる演出がされていて、メリハリがあって良かった。

あと、各コーナーのサインや物販のPOPにいたるまで、あちこちに使われていたガラスの欠片のような多角形のモチーフも、この作品ならではだなーと思いました。

作品の持つ抑制の効いた気品ときらびやかさが、よい形で再現できていたのではないかと。

なお、場内は写真撮影一切禁止。
いろいろ考え方があるとは思いますが、基本的に展示物がほぼ原画のみである以上、これはしかたないのかな。

そのかわり、出口には顔ハメパネルがわざわざ3種類。

f:id:fumfumz:20170828235120j:plain一番やってみたくなるのは真ん中かなぁ

個人的には、顔ハメじゃなくて単体で被写体になるようなパネルとか、ひとつくらいほしかったなぁという気はするのですが、実際この形は幅広い年齢層のお客さんにたいへん喜ばれているように見えたので、アリだったのでしょう。

■悪ノリを含めた「ノリ」のよさ

全編通じて、とにかくノリノリでつくられている感じが楽しかった!

たとえば、この作品の代名詞ともいえるような、キャラが白目になっているシーンの原画ばかりを集めたコーナーなんてのもあるんですが、これ、「白目」がいわばネタ的に面白がられていることを、制作サイド・監修サイドが認識・許容していたからこそできたことであり、こういう柔軟さ、とても大事だな~と思います。

物販にしても、SNSでも話題を呼んでいた「泥まんじゅうチョコクランチ」「白目になるクリアファイル」をはじめ、制作サイドのニヤニヤが伝わってくるような、絶妙なグッズの数々に、見ているだけでこちらもニヤニヤしてしまった!

大都芸能や劇団オンディーヌの熨斗がついたお菓子や、作中劇をモチーフにしたチケットファイル類なんかも、ノリで買いたくなりました。

■総括:ガラスの仮面はホラーである、そして国民的コンテンツである

「これ怖かった~!」「おかしいよね…!」
有名なシーンの原画の前では、こんな会話がよく聞かれました。
マヤが川に飛び込んで「椿姫」のチケットを手にするシーン、「奇跡の人」の「ウォーター」のシーン、オオカミになりきるシーン、泥まんじゅうを貪るシーン…。

それらを改めて原画で見てみると、なるほど一種のサイコホラーだな…と改めて感じる。背景の演出とかね。

そこで他作品の原画なんかも見ながら考えるのは、美内先生はそもそもホラーの描き手としても著名であること。
作家としてのキャリアというものに無駄はなく、どんな作品の経験もその作家の一部となっていくのだなあ…ということを実感。

(ちなみに近い例としては、ささやななえこさんが連想されるかと思います。
『凍りついた瞳』シリーズの鬼気迫る描写は、ホラー畑経験者ならではの凄みではないかと)

 それと、もうひとつ強く感じたのが、来場者層の多彩さから、本当に幅広い年代の読者に愛されている作品なのだなーということ。
長寿作品のわりに重要な登場人物が少なく、一人一人のキャラクターを充分に立たせやすいというのもあるのだろうな。

多作であることもひとつの才能だけれど、ひとつの大作にずっと向き合い続けていること、そしてその作品で世代を超えた多くの読者の心を惹きつけつづけていることも、非常に得難く、尊いものだと思いました。

冒頭とラストにちょっとした映像とグラフィックによるややメタ的な演出があり、これが現実と作品世界の橋渡しとして絶妙だったなーと思います。

いつか完結した暁には、「こち亀」や「浮浪雲」のように、マンガ界を超えた一大ニュースとなるのでしょう。その日が来るのが怖いような、寂しいような、楽しみなような、不思議な気持ちです。

ところで、入場料1000円でこの内容にはたいへん満足したのでもうひと課金しようと「喫茶月影」で「月影パフェ」をいただいたんですが、容器の底の細くなってるとこにはまりこんだスポンジが食べられなかったことを恨めしく思ったことだけは記載しておきます。

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正直くやしかった

東京会場の会期は9月4日まで!

www.asahi.com

https://twitter.com/fum_sz/status/901751696543453184

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